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成まりブログ芸術・文化

07年3月 7日(水)

文化に市場原理はなじまない――京都国立博物館調査から

 京都国立博物館などの独立行政法人化から5年。国会に出された文化財研究所との統合案をめぐって、井上哲士参議院議員の調査(2/28)に同行しました。

 館内の文化財修復工房では、絵の裏打ち紙を水で少しずつ溶かしてピンセットで剥がしていく作業を見学。1日がかりで10cm角くらいしか進まないそうで、仕上がった絹本の仏画は20ヶ月かかったとのこと。仏像修復では、三十三間堂千手観音像を、一巡すればまた最初からと半世紀以上も続けているそうで、気の遠くなるような作業ですが、「次の世に引き渡す」という話が印象的でした。制作当時の色・形の復元ではなく、数世紀を経た文化財をこれ以上傷まないようにして後世に引き継ぐというのです。

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07年3月 1日(木)

京都国立博物館へ井上哲士参院議員とA

京都国立博物館調査つづき〕 さらに新春特別陳列展などを学芸課長さんらに案内していただきながら、文化財研究や展覧会企画についても聞きました。

 十数年から半世紀を超えるスパンで研究を積み上げ、その成果を独自に展覧会に組み立てても、貴重な研究成果ほど入場者数と比例しない(むしろ反比例)で、苦労をされているとのこと。

 昨秋の「京焼(京のやきもの)展」も、4半世紀にわたって建仁寺などの蔵を洗いざらい研究したうえにたった最新の成果だったけれど、入場者数ではあまり伸びなかったそうです。

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07年2月28日(水)

京都国立博物館へ井上哲士参院議員と@

 井上哲士参議院議員の京都国立博物館調査に同行し、文化財の修復工房などを見せていただきました。

 視察は、国立博物館などが独立行政法人化されて5年がたち、さらに今国会に文化財研究所との統合法案が出されていて、その審議のためのものです。

 まず佐々木丞平館長を訪ね、雪舟の〈天橋立図〉(!)が正面に掛けられた館長室で懇談しました。

 スタッフからも「経営努力で得た収益は自由には使えず、運営交付金は減るばかり。文化財購入費を削らざるをえず、国民的価値のある文化財が海外へ流出してしまう」「財務省は『数』で評価するが、大量客の大型企画ばかりはやれない。質を落として遊園地のようになっていいのか」との声。さらに、一般管理費15%削減や経常経費5%削減も課せられ、「博物館の本来の使命が果たせない。文化予算はなぜこんなに少ないのでしょう」との館長さんの言葉を、たいへん重く聴きました。

 続いて、館内にある文化財修復工房を見せていただきました。絵画などの修復をしている岡墨光堂では、絵の裏打ち紙を刷毛の水で少しずつ溶かしてピンセットで剥がしていく作業の最中で、ベテラン技術者でも1日かかって10cm四方くらいしか進まないそうです。全ての裏打ちを剥がす→欠けた穴に合う紙を手すきで作製→新たな裏打ち、という工程。ほぼ仕上がった絹本の仏画は20ヶ月かかったとのこと。また、仏像などの修復をしている美術院国宝修理所では、三十三間堂の千手観音像1000躯の修復を、一巡すればまた最初から、と半世紀以上もやっているそうです。

 …どちらも気の遠くなるような作業ですが「次の世に引き渡す」という言葉が印象的でした。制作当時の色や形を復元するというのではなく、数世紀を経てきた文化財を、傷みが進行しないように手を施し後世に引き継ぐ、という視点。…修復材料やそれを作る人がいなくなる危機も深刻だそうで、これらは絶対に「市場原理」や「効率」では測れない貴重な営みだと痛感しました。  〔つづく〕

 「独法化以後、活性化のために努力して入館者も増え、ずいぶん変わったと評価される」と館長さん。けれど、がんばって“ノルマ”を達成しても、財務省からは“右肩上がり”(ノルマ引き上げ)の収入増が求められ、大変な苦労をされているんだそうです。

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07年2月19日(月)

「凜々RinRin展」へようこそ!

 「成宮まり子と一緒に! 凜々RinRin表現と未来展」が、ギャラリーかもがわで始まりました。

 誰もが芸術文化と関わり、人間らしく生きられる世の中をつくろうと、日本共産党美術家後援会が呼びかけていただいたもので、京都市立芸術大学でお世話になった先生や先輩をはじめ、絵画・彫刻・版画・書など、50人を超える方々から約70点もの作品が寄せられました。“ものづくり”を生業(なりわい)とするみなさんが、その手仕事の成果で応援していただけるなんて、こんなに嬉しいことはありません。感謝・感激です。

 18日の出展者のみなさんとの交流パーティーでは、「まさか君がこんな道を選ぶとは思ってもみなかった」「周りの美術家にもどんどん応援が広がっているよ」との声や、「ものづくりの町京都から、どうしても芸術畑の国会議員を誕生させたい」「私は、藤田嗣治の戦争画を見て御国のために命を捧げようと思った。でも絵描きになったきっかけも藤田だった。とにかく戦争はいかん」というお話、「そういえば美大出身の真鍋くん(大山崎町長)はどうしてる?」なんていう話題まで飛び出したりして、とってもたくさんの励ましと勇気をいただきました。

ぜひ、展覧会なんか行ったことがない、という方も足を運んでみてください。26日(月)までです。

*ギャラリーかもがわ(京都市上京区堀川通出水西入ル一筋目東北角)

(『京都民報』2/25付掲載「アートdeArt」)

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07年2月18日(日)

長岡京市でみながわ候補と/凜々展パーティー

●長岡京・大山崎府会のみながわ候補と

 午前中、保育園保護者会の用事をすませ、午後から乙訓へ。みながわ朋枝府会候補、小原長岡京市議と一緒に5ヶ所で宣伝しました。…天気が回復してきたからか、人が多いです。家もみっちり。しかも子ども連れが多い多い。 これってやっぱり長岡京特有かなぁ〜。

 ●「成まりと一緒に凜々展」パーティー

 夕方は5時から、ギャラリーかもがわでの「凛々展」交流パーティーへ。

 こくた衆院議員も駆けつけていただき、日本画家の久保田壹重郎さん、染色家の高谷光雄さん、彫刻家の貴志佳史さん、建築家の蓮佛亨さんをはじめ、出展者のみなさんからさまざまな励ましをいただきました。

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07年2月13日(火)

「凜々RinRin成まりと一緒に〜表現と未来」展が14日スタート

 党美術家後援会のみなさんにより開いていただく「凜々RinRin 成宮まり子と一緒に〜表現と未来」展は、いよいよ明日(14日)からです。

 場所はギャラリーかもがわ(京都市上京区堀川通出水西入ル東北角)。

 昨夜の搬入作業にご挨拶に行くと、佐野賢先生(市立芸大)や高谷光雄先生(精華大)をはじめ、京都市立芸術大学の先輩方や関西を中心に活躍するアーティスト有志のみなさんから、約50点もの作品が寄せられ、所狭しと並べられていました。  …ほんとうに感謝、感激、ありがとうございます。

 搬入作業では、貴志佳史さんの水の滴る作品(写真)の“ひみつ”を、ついに知ってしまいました。…それにしても立体の搬入は大変です。売れたらさらに大変かも。

 ちなみに私の夫の黄瀬充(いちおう陶芸家)も出品していますが、これは私のお気に入りのオブジェで、部屋に飾ってあったもの(ほんとは売りたくない…)です。

 26日までです。ぜひたくさんのご来場をお願いします!

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07年2月 7日(水)

音楽家後援会コンサート/国会正常化で“共産党の独自色”

●いっぱい花咲かそうコンサート
 党音楽家後援会の手によるコンサートを開いていただき、地方選候補者とともにごあいさつしました。  出演者は、“合唱隊 桂”(党西京事務所にたびたび練習の歌声が響いていた)や、マリンバの戸田文代さん(芸大の音楽学部友人のお母さま。娘の保育園にも演奏にきてくださった)、ソプラノ歌手の福島佐容子さんなど、これまでも親しくさせていただいている方々ばかり。

 そのうえ、せのお直樹市議(ハーモニカ)や上原ゆみ子府会候補(ピアノ他)なども登場し、さすが!と感心して聴きいりました。

 …音楽とは豊かな言葉をもったものですね。そして音楽も美術も、芸術・文化は国民みんなのもの。いま、人間を「使い捨て」「機械」扱いし、「格差と貧困」を広げて生きる希望も奪う政治や、人生を狂わせる「戦争する国」へ再びすすもうとする勢力に対峙して、「人間らしく生きよう」「子どもたちの未来に戦争あかん」という人間の大合唱を響かせ、2つの選挙勝利をひらきたい、と思いました。


●国会正常化――「共産党の独自色発揮を」と『産経』論説
 国会が正常化し、審議再開へ。今日明日、柳沢発言と「少子化」問題の集中審議。…国会から目が離せません。

 この経過をめぐって日本共産党の立場について、未明に市田書記局長と穀田国対委員長が会見しています。その大要は…

@柳沢大臣発言は重大で罷免すべき。しかし要求が受け入れられないからと「審議拒否」するのはまちがい。審議で問題を追及すべき。

Aところが、与党が単独で審議をスタートさせるいう不正常な国会運営がおこなわれたので、抗議し退席した。これは「審議拒否」ではない。

Bわれわれは国会正常化へ、5日には「与野党国対委員長会談を」と、6日には「補正予算の補充審議をまずすべき(補正予算が与党単独採決という事態は40年ぶりの異例なので)」と与党に申し入れ、与党側は「傾聴に値する。…誠意をもって対応する」と答えた。

Cそして6日深夜に与野党国対委員長会談が開かれ正常化された。われわれが提案してきたことが実って大変よかった。 …というもの。


 この日本共産党の立場をめぐって、『産経』(2/6付)論説が、「共産党が、…審議拒否に全面依存する民主党などと一線を画している」「野党3党に同調したように見えるが、最後は違う」と書いています。住専国会(96年)でも新進党・小沢一郎氏が「座り込み」に出たときに志位書記局長(当時)が事態打開に動いた、「『審議拒否はしない』というのが党の基本方針」と紹介して、「民主党がグズグズしている今こそ共産党の独自色発揮を。即時に審議復帰を」とのご提案です。

 〜結果としては、この後(6日)に、共産党の再度の申し入れどおりに与野党国対委員長会談が開かれ正常化へすすんだわけで、そういう意味で論説のとおり“独自色の発揮”がおおいにできたもの、と思います。

 …ただ、こうした経過は、多くのみなさんには正確に伝わりにくいですね。

 そういうなかで「審議拒否」のような“派手さ”に目を奪われることなく、「共産党の独自色」に注目してくれている論説もあるんだなぁと、感心して読みました。

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07年2月 5日(月)

「戦争と芸術」展、藤田嗣治と戦争画

 京都造形芸大で開催された「戦争と芸術」展(〜2/2まで)。藤田嗣治の戦争画〈南昌新飛行場爆撃ノ図〉――自衛隊施設に展示されている絵が、防衛省の協力で例外的に公開されると聞き、足を運びました。

 日本軍が中国飛行場を爆撃して強行着陸。敵機を炎上させて制圧する場面を描いたもので、武勲を称えて軍人たちの名前も記された“正統派”的戦争画です。

 藤田の戦争画では昨年回顧展の〈アッツ島玉砕〉などが有名です。が、最近の「戦争の悲惨さを表したもの」「戦争画は『反戦画』ともいえる」との「再評価」が、私は気にかかります。

 悲劇の場面を描いたら『反戦画』なのか? 藤田自身はどう考えたのでしょうか。

 …「絵画が直接御国に役立つと言ふことは何と果報なことか。私は右の腕は御国にささげた気持ちでゐる」と語り、「国民総力決戦美術展」(1943年)に出品した〈アッツ島〉の画の脇に、国民服に防毒マスクを掛けて立ちお辞儀をした、とのエピソードがあります。

 戦争の「大義」を信じ進んで加担した画家。その意図や姿勢を抜きに「評価」することは、画家を操った日本の侵略戦争と軍国主義の深刻な誤りさえも「抜き」にすることにつながると感じます。

 そして“正統派”の戦争画が、いまも防衛省に「教育資料」として飾られていることほど不気味なことはありません。

 芸術作品の評価って何だろう。人々の幸せ、愛、平和、人類の発展方向、…。

 藤田嗣治をめぐり、私もまだまだ考え続けています。
  (『京都民報』2/11付掲載「アートdeArt」)

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