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07年2月 5日(月)

アートdeArt(12)「戦争と芸術」展、藤田嗣治と戦争画e001_artde)アート de Art

 京都造形芸大で開催された「戦争と芸術」展(〜2/2まで)。

 藤田嗣治の戦争画〈南昌新飛行場爆撃ノ図〉――自衛隊施設に展示されている絵が、防衛省の協力で例外的に公開されると聞き、足を運びました。

 日本軍が中国飛行場を爆撃して強行着陸。敵機を炎上させて制圧する場面を描いたもので、武勲を称えて軍人たちの名前も記された“正統派”的戦争画です。

 藤田の戦争画では昨年回顧展の〈アッツ島玉砕〉などが有名です。が、最近の「戦争の悲惨さを表したもの」「戦争画は『反戦画』ともいえる」との「再評価」が、私は気にかかります。

 悲劇の場面を描いたら『反戦画』なのか? 藤田自身はどう考えたのでしょうか。 …「絵画が直接御国に役立つと言ふことは何と果報なことか。私は右の腕は御国にささげた気持ちでゐる」と語り、「国民総力決戦美術展」(1943年)に出品した〈アッツ島〉の画の脇に、国民服に防毒マスクを掛けて立ちお辞儀をした、とのエピソードがあります。

 戦争の「大義」を信じ進んで加担した画家。…その意図や姿勢を抜きに「評価」することは、画家を操った日本の侵略戦争と軍国主義の深刻な誤りさえも「抜き」にすることにつながると感じます。

 そして“正統派”の戦争画が、いまも防衛省に「教育資料」として飾られていることほど不気味なことはありません。

 芸術作品の評価って何だろう。人々の幸せ、愛、平和、人類の発展方向、…。

 藤田嗣治をめぐり、私もまだまだ考え続けています。(『京都民報』2/11付「アートdeArt」)

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メッセージ

 以前、D画伯が、戦争展で語られたこと。
 戦争中「日本軍の攻撃を受けて炎上する米軍艦の絵」を依頼され、提出したら、新聞の記事になっていた。ちょっと荒い画面だと、実物写真と解らない。
最初は「うまく撮影できなかったんだろう」と思ってたら、何度も依頼が来るので、「こりゃ、捏造じゃないか?」と気づいた、とか。

 古典芸術の多くが、支配者のご機嫌取りで作られたものであるのは確かで、庶民にとっては搾取の結果なんでしょうが(宇治平等院とか奈良の大仏とか姫路城とかの遺産も含め)
 「目的」をもって作られたものについてはそれなりの検証を受けるべきでしょうね。

 (ピカソやゴッホなどの「天才肌」の芸術がなかなか理解できない奴です)

突然のコメント、失礼いたします。
この度、第4回を開催する運びとなりましたので、
お知らせいたします。

「戦争と芸術−美の恐怖と幻影W−」
主催:京都造形芸術大学/ギャルリ・オーブ
会期:2009年9月28日〜10月12日(祝) 10:30〜18:30 無休
会場:京都造形芸術大学人間館1F ギャルリ・オーブ
入場料:無料
協力:東京都現代美術館/原美術館
企画:飯田高誉(京都造形芸術大学芸術学部准教授)
スタッフ:高橋洋介(京都造形芸術大学ASP学科) 御厨亮(ASP学科)
宮内由梨(ASP学科) 高嶋慈(京都大学) 吉富真知子(同志社大学)
出品作家:草間彌生 横尾忠則 杉本博司 AES+F マーティン・クリード
Mr. 名和晃平 ヤノベケンジ 戦闘機プロジェクト(佐藤愛、田上穂波、三松由布子)
オープニングレセプション|日時:9月28日(月)18:00〜19:30
会場:ギャルリ・オーブ
ギャラリートーク|日時:10月3日(土) 10月4日(日)
10月10日(土) 10月11日(日)
14〜15時、16〜17時の2回開催。
会場:ギャルリ・オーブ
無料・先着順(各回20名)
対談|「終わらない戦後」
椹木野衣(美術評論家/多摩美術大学美術学部准教授)

飯田高誉(本展キュレーター/本学芸術学部准教授)
日時:10月2日(金)18:00〜19:30
会場:ギャルリ・オーブ
無料・先着順
アーティストトークT|「核時代のサヴァイヴァル/リヴァイバル」
ヤノベケンジ(本展出展作家/本学情報デザイン学科教授)
モデレーター:飯田高誉(本展キュレーター/本学芸術学部准教授)
日時:10月9日(金)18:00〜19:30
会場:ギャルリ・オーブ
無料・先着順
アーティストトークU|名和晃平(本展出展作家/本学芸術学部准教授)
モデレーター:飯田高誉(本展キュレーター/本学芸術学部准教授)
日時:10月8日(木)18:00〜19:30
アーティストトークV|「日常の中の戦争」
戦闘機プロジェクト(佐藤愛、田上穂波、三松由布子)
モデレーター:高橋洋介(本展スタッフ/本学ASP学科)
日時:10月12日(祝)16:00〜17:30
会場:ギャルリ・オーブ
無料・先着順

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