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10年4月29日(木)

800年の“歌の家”〜「冷泉家 展」を訪問・鑑賞2010

 京都で“歌の家”として800年の歴史をもつ冷泉家。今朝は、京都文化博物館で開催中の「冷泉家 王朝歌守(うたもり)展」を市田書記局長とともに訪ね、当主夫人の冷泉貴実子さんに、代々守り伝えられてきた国宝や重要文化財などの古典籍のご説明をいただきました。

 今回の展覧会は、平安・鎌倉時代の歌人、藤原俊成(しゅんぜい)、定家(ていか)、為家(ためいえ)を祖先に持つ冷泉家が「御文庫(おぶんこ)」と呼ばれる邸内の蔵で保管してきた和歌集などを一般公開するもの。俊成の自筆による歌学書や、定家の筆写による勅撰集「古今和歌集」など国宝5点、他に重要文化財が300点以上というすごい規模の出展です。

 …和歌には決して詳しくはありませんが、藤原定家といえば、あの『小倉百人一首』の選者!〜私、小学校の頃、「かるた」をめちゃくちゃがんばってやってました。

 来ぬ人を まつ帆の浦の夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ(権中納言定家)

 …まさに、800年前の“歌のスーパースター”。その“自筆ノート”や“拾うべき歌はなし”なんてメモ書きがしっかりと引き継がれていることに、思わずため息が出てしまいます!

 「平安時代の和歌文化を伝える典籍の9割が冷泉家にあり、最も古いものは1000年前のものです。世界史的にも貴重であり、こうしたものを後世に伝えたという意味で、冷泉家の価値があります」と冷泉貴実子さん。

 また「修復作業が必ず必要で、年間2000万円かかります。国指定のものは6割が国庫補助ですが、4割は財団負担です」と公的支援の必要性を訴えられ、市田書記局長が「残念ながら、近頃の政府は『効率』でしか物事を考えない。文化財保護にもっと予算をつけるべきですね」と応じました。

 …本当にその通り。そういえば「修復し、次の世に引き渡すことが使命」という言葉は、3年前に井上哲士参院議員に同行して京都国立博物館・文化財修復工房を訪ねたときにもお聞きしたことです。

 数世紀を経てきた文化財の修復・保存は、技術・材料の面でも危機に瀕しているそうで、こうした仕事の“価値”は、まさに短期的な「効率」などでは計ることはできません。

 …すばらしい文化財とともに、「公」の支援がもっと必要だ!とあらためて感じた訪問・懇談となりました。冷泉貴実子さん、学芸員の方々、大変ありがとうございました。

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