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07年12月13日(木)

アートdeArtU(3)飯塚国雄の絵画と、20世紀の暴力e001_artde)アート de Art

 「なぜお前はアメリカに住み続けるのか」…被爆した亡父の問いに応えるために描き続けてきた画家・飯塚国雄氏。絵画展が立命大国際平和ミュージアムで開催中です。

 オレンジの炎に焼かれる人々を描いた〈炎・ナガサキ〉や、すべてが焼きつくされた〈灰・ヒロシマ〉などの大作は、国連50周年記念の特別展にニューヨーク国連本部で展示されたもの。

 他にも〈ソマリアの哀歌〉(写真下)、〈サラエボの哀しみ〉といったタイトルが並び、戦争や虐殺、難民などをテーマにした作品群は見ごたえがあります。

 ほぼモノクロに近く限定された色づかい。塗るのではなくナイフで彫り込んだようなマチエールが、木版画のような強さを放ちます。悲惨さの描写というより、どこか寓話的なニュアンスを感じさせるフォルム。…氏は、宮沢賢治の童話の世界に惹かれ、「セロひきのゴーシュ」「銀河鉄道の夜」などの連作も手がけてきたとのことです。

 2001年、その画家の目の前で起こった「9・11テロ」。ニューヨークのアトリエのすぐそばにあった貿易センタービルの炎上と崩壊。氏が時間を追うように鉛筆を走らせたスケッチ数点が展示され、「ものすごいショックに、なかなか作品にすることができなかった。それは本質的に長崎・広島で起きたことと同じ残虐な行為」と語る氏へのインタビュー(隅井孝雄元京都学園大教授による)映像も見ることができます。

 〈戦争が終わった〉〈少年〉(写真右)など、画家自身の子ども時代の記憶や、傷ついた身体で必死に生きようとする人々を描いた近作も目を惹きます。鎮魂と和解、再生への願いが伝わります。

 「戦争に対して芸術家はどう向き合うのか」…繰り返し問いかけられてきたテーマです。「20世紀の暴力」を描き続けた画家と向き合ったとき、私自身があらためて誓ったのは、「21世紀に、画家が『戦争』を描かなくてもよい世界を人類の手でつくりだしたい」ということです。

*「飯塚国雄絵画展―被爆した父への応え」立命館大学国際平和ミュージアム〜12/15(土)まで

 ★『京都民報』12/16付「成宮まり子のアートde Art」

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