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07年11月 2日(金)

07.10.30学生のみなさんと考える。高学費問題(左京区民青学生班企画での講演)青年・雇用

■はじめに――国民・若者の声が政治を動かす時代がやってきた!

 いま、国会は様変わり。参院選での国民・若者の審判が現実政治を動かしている。安倍首相が“政権投げ出し”、福田内閣が誕生した。@沖縄戦の歴史教科書問題。9月29日11万人沖縄県民大会に内閣も一定の対応をせざるを得なくなった。A福田首相は「靖国神社に参拝しない」と。でも憲法改定をあきらめたわけではない。激しいせめぎあい。B「数の暴力」は過去のものに。先の通常国会では強行採決20回だったが。C社会保障、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、児童扶養手当削減などの「見直し」、財源をめぐって激しいせめぎあいに。

 いずれにしても、自民・公明の政治に「ノー」の審判がくだり、その結果、自・公に変わる「新しい政治」とはどんな政治か、国民・若者みんなが探求する、新しい時代に入っている。

■どこまですすむ!? ――日本の高学費

○日本の高学費は異常

 40年間の値上げで、国立の平均が82万円、私立平均が130.5万円〔★資料〕。 物価指数では、1975年100→2004年で180。ところが、私立大学の授業料は指数448、国立大はなんと1447。そのうえ政府は、2005年度も国立大学の授業料標準額の値上げ。谷垣禎一財務相は、国立大学授業料の値上げの理由を「国立大学と私立大学の格差是正などを総合的に勘案した」と言う。

 国立大学は法人化された04年度からは、政府が「標準額」をきめ、「10%増」を上限に各大学が決めるしくみ。しかし、標準額が上がれば、在学生も含めて値上げしないと大学の財源が減る。国からの「運営交付金」は毎年一律に1%削減されている。

 国立大の値上げは、公・私立の値上げを誘発する。私立大学は、04年度平均130万円、理系148万円、医歯系では506万円(初年度納付金)。私大は収入の7割を学費に頼っている。国庫助成を経常費の「2分の1とするよう努める」と1975年に国会で付帯決議があったのに、政府は助成を12%にまで削減した。学生1人当たりの補助額は1980年度14.9万円→2004年度9.8万円へ減。

 こうした値上げの結果、日本は、経済格差による教育上の差別が最も激しい世界で有数の国になってしまった。そして、「お金のあるなし」が「教育格差」に直結するということでは、例えば、早稲田の初等部では寄付金300〜350万円を入学試験面接で要求したとの報道もある。高い学費を負担できるかどうかで、その後の人生が大きく左右される事態。

○学費値上げが生み出す貧困〔その1〕――家計と学生を直撃!

 日本では学生生活費の半分が学費に消える(国公私平均で)。“アルバイトづけ”や、食費や本を買い控える学生たち。学生の支出を調べてみたら…自宅通学生で、2003年は1ヶ月の支出合計が63,110円で、1992年65,060円から減っている。減っているのは、食費10,400円(1992年14,120円)、教養娯楽費8,010円(12,990円)、書籍費2,170円(3,590円)など。自宅外通学生でも、食費25,120円(1996年に31,810円)、教養娯楽費9,400円(12,250円)、書籍費2,560円(3,650円)。つまり、食費を1日1,000円から800円に減らしている(過去4半世紀で最低)。書籍の買い控えは、さまざまな読書や思索の習慣形成に負の影響が大きいと、大学教員からも危惧の声が。

 また、家計負担は限界に。大学生1人あたりの学費と生活費の合計は202万円。2人で404万円。働く世帯の平均年収の6割以上に。「私立大学に子ども入れるために借金する」22%(借金額は平均159万円)。しかもいま、勤労者世帯の収入は9年連続減っている、「児童の貧困率」も急増している〔★資料〕。

 高学費が「少子化」の一因にも。大学卒業までにかかる子育て費用は2370万円 〔★資料〕。…総務省アンケート(2004年)でも、「子どもを持ちたいと思うために、どれを充実してほしいか」の問いに、「教育にともなう経済的負担の軽減」が58.6%で最多。「特に、高校・大学」が65.5%。しかし文科省は「一定の年齢に達した子どもが経済的にも自立し、応分の負担をすることの必要性を訴えていく」と背を向けている。

○貧困〔その2〕――大学の教育と研究をゆがめる!

 国立大学の授業料が値上げされた2005年度、運営費交付金は98億円も減らされた(総額1兆2317億円)。値上げ分は81億円、それを上回る減額がされている。大学は支出を削らざるを得ない。

 どんなことがおきているかというと、2006年3月NHK「クローズアップ現代」で「大学大競争時代 生き残りをかけた闘い」特集。京都教育大では、定年退職した教授の後任は置かないで教員数を減らす。理科の担当が19→14人になり、理科だけで6科目を廃止。学生が「無機化学がない、液体の化学もない、とろうと思ったら全部廃止に」と悲鳴。高い授業料を払っても講座がない、という事態。

 島根大学の生物資源学部では、2005度の研究費が前年比マイナス29万円。環境ホルモン調査のために飼うメダカ、水槽の代わりに、百円均一の容器で飼育。アフリカツメガエルの飼育にはプラスチック衣装ケース、という事態。

○「構造改革」でさらに大学の“生存競争”激化!

 小泉「構造改革」による大学再編の結果、2004年度から国立大学が法人化され、大学が「第3者評価」されることになった。当時、財務大臣の諮問機関である「財政制度審議会」が言っているのは、「国立大学に対する財政措置や私学助成等の既成支援策を見直し、国公私を通じた競争原理にもとづく支援へシフトさせる必要がある。…市場原理・競争教育の下で、各大学が自らの経営判断に基づいて自律的運営ができるようにする」「学生納付金については、学部別授業料を含め各大学の自主的な判断に基づく設定を。…運営交付金の算定の基礎となる学生納付金の水準に関しては、受益者負担の徹底、自己収入確保の努力を踏まえて」(2003年6月)とういうこと。つまり、大学を競争させ、経営努力させ、学費は「受益者」である学生負担を徹底せよと。さらに小泉「大学改革」では、国立大学を大幅に減らし、「トップ30」大学のみを重点育成するんだ、将来は民営化も、と競争と格差を広げる方向をめざした。

 こうした「構造改革」で、奨学金はどうなったかというと、まず、他国に例のない「利子付き」奨学金の割合がどんどん増やされた〔★資料〕。さらに、2004年から。日本育英会が「独立行政法人学生支援機構」にされ、@無利子奨学金を減らす、A回収率を上げる数値目標をもち「事業運営の評価」を、B高校の奨学金は扱わない、C無利子奨学金の返済免除制度(卒業後15年間に教職や研究職についた場合)の廃止、ということに。その結果、奨学金の返済免除では、これまで大学院修了者の1/3が全額免除だったのが、京都大学では、修士課程修了者2068人中17人だけに(博士課程の学位授与者514人中11人)なってしまった。「利子付き」奨学金拡大のの流れは、銀行などの「教育ローン」売り出しにもつながった。

■ 世界の大きな流れは“学費ゼロへ”――背を向ける日本の政府

○欧米では無償化すすむ。OECD加盟30カ国うち15カ国は無料

 世界では「学費ゼロ」への流れが〔★資料〕。ドイツでは、基本的に無償で、学生登録料が約2万円。「学生証を見せれば公共交通もタダだ」と留学した知人が言っていた。ドイツには、高等教育大綱法があり、「学修のために必要な資格を証明すれば・・・すべてのドイツ人は、自ら選択した高等教育機関で学修する権利を有する」「授業料を徴収しない」と決めている。フランスでも、大学はほぼすべて国立で、無償になっている。学籍登録料1.4万円。フランスの「第3千年期の大学計画」「学生福祉計画」には、さらに給与奨学金を増額する、学籍登録料の免除、学生寮の増設など学生の利益を考えた計画を決めている。ドイツとフランスに共通しているのは、国民の高等教育を受ける権利を「実質的」に保障するということであり、無償制にして進学率が上がっても、政府が責任を持って財政を措置するという考え。

 また、「授業料」のある国であっても、イギリスでは学生の43%が免除、14%が減額措置をうけている。入学金は無い。授業料は「後払い制」といって卒業後に年間所得が315万円以上になれば支払う、返済額は所得によるというユニークな制度。アメリカでは、私立大はたしかに高いものの、学生の73%が通う州立大は授業料50万円、入学金は無し。しかも7割以上の学生が奨学金をうけ、学生のいる家庭には十数万(12万〜18万円)の減税措置がされる。

○国際人権規約の社会権規約(1966年)「高等教育の無償化、漸進的導入」

 国連、国際人権規約の社会権規約、第13条2項(b)高校、(c)大学における「無償教育の漸進的導入」という世界の流れ。「高等教育は、…とくに、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべてのものに対して均等に機会が与えられるものとすること」。この規定は、規約をつくる審議のなかで、「教育への権利」「教育の機会均等」を空虚な約束にとどめず、各国が具体的措置をとる必要があるということで、「無償教育の漸進的導入」がもっともよい、ということになったそう。その後、国連加盟国191カ国うち、社会権規約を批准したのは151カ国。各国で国民の納めた税金で「無償化」を広げる努力がされている。

 ところが日本だけは、まったく逆の道。日本政府は、1979年に国際人権規約を批准しながら13条2項(b)(c)を「留保」した。留保は、日本以外に、ルワンダ、マダガスカルがあるが、両国とも日本とは13倍の経済力のちがいがある。先進国には例がない。こうして、40年の逆行の結果、日本は高等教育にあてる予算が先進国のなかで最低ランクに〔★資料〕。高等教育予算のGDP比では、デンマークをはじめ1%以上の国が多数だが、日本は0.5%しか使ってない。税金と学費の「2重取り」、奨学金の有利子化とは「3重取り」という異常な事態だ。

○国連の2つの委員会がつよく勧告

 こうした日本政府に対して、国連・社会権委員会から2001年9月、「高等教育の漸進的無償化」条項の留保撤回をと、勧告があった。「日本国憲法に反映されているにもかかわらず、満足のいく方法で効力が与えられていない、…立法・行政・司法で、この問題が十分議論されないまま社会権規約上の義務に違反している」とつよい警告だ。2006年6月中に、具体的・詳細な報告が要求されたが、政府は報告を出していない。

 また、国連・児童の権利委員会からも1998年と2004年に勧告が。日本では競争教育で子どもの発達が妨げられているということに加え、「高等教育への進学に貧困家庭の子どもが不利に」なっている、平等にアクセスできるようにしなさい、という勧告だ。しかしこうした国連からの勧告にも、日本政府は背を向け続けている。ほんとに恥ずかしい話だ。

○歴代政府がよって立つ「受益者負担主義」とは

 日本政府は、「高等教育の無償化」ではなく、学費は「受益者負担」だと言ってきた。「受益者負担」とは何か…1971年6月の中央教育審議会が、授業料に「受益者負担の原則」を初めて導入した。教育は一種の「投資」であり、投資効果のうち、当事者個人に帰る部分と、社会に還元される部分がある、「受益者負担割合」を決めればいい、と言った。さらに、1980年代以降、「行政改革」「構造改革」といって「受益者負担」を広げ、「徹底」せよと言って、国の負担を減らしてきた経過がある。

 いま、「授業料」とは何に使われているか? …授業のために必要な経費だけでなく、限りなく使いみちは広がる、まるで「流用」だ。国の運営交付金を減らした穴埋めにまで使われ、学生は、負担はするが運営には参加できず、使い途の説明もされない、ひどい話。

 こうした現状に批判がつよまり、中教審も、2005年1月の最終答申では、初めて「学生個人のみならず現在および将来の社会も高等教育の受益者である」ことを認めた。しかし、同年、谷垣大臣は「高等教育の場合は、…教育を受けた個人に直接帰属する利益が相対的に大きい」と開き直った。

 そもそも大学教育の「受益者」とは誰か? 社会全体が受益者である。そのことを示している1つの例が、2005年度の値上げに反対して行なわれた地方の大学学長の声明にある。中国・四国の10国立大学(鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、鳴戸教育、香川、愛媛、高知)学長が連名で、学費の値上げが行なわれると国立大学の使命が果たせない。とくに中国・四国地域では、国立大学が地域社会の中核となる人材を育ててきたのに、値上げが続けば地域における「知のサイクル」が壊れ地域の発展に深刻な影響がある、と言っている。続いて、弘前、岩手、秋田の3学長も「地域の発展に貢献し得なくなる。地域経済にとって重大」と声明を出した。学生が大学で学び、社会に出ることは、地域社会や日本社会全体にとって貢献するということなんだと

○「高等教育の漸進的無償化」か「受益者負担」か…国会論戦より

 世界の「無償化」の流れも、こうした立場にたったもので、国際人権規約を認めることは、やはりいちばん要の問題だ。実は政府も、1979年(社会権批准時)には、「残念ながら、政府部内の意見が統一できなかったということを恥じておる…これは当然、将来、(留保を)解除する方向に努力をし、またそういう責任がある」と外務大臣が言っていた。

 ところが、1980年代になると、共産党の宮本顕治委員長の「国際人権規約の第13条(c)項批准の留保撤回せよ」という追及に、鈴木首相は「私立学校が大きな割合。無償化の方針をとることは学校教育制度の根本にかかわる、適当でない」と後退。さらに「臨調行革」路線で、補助金削減、私学への補助減らす、奨学金有利子化という逆行に。中曽根首相は「私立学校を含めて全部全面的に無償化を図るということは、現在の財政状況その他から見まして、極めて困難。…条約の留保の撤回は考慮しておりません」と答弁。一方、国会では、衆・参の文教委員会で「諸般の動向をみて留保の解除を検討すること」と決議された。綱引きになっている。

 さらに2005年1月には、中央教育審議会が「我が国の高等教育の将来像」という最終答申を出した。「将来像」と言うのに、「無償教育の漸進的導入」には一切触れずという姿勢だ。この年、日本共産党は「組み替え予算案」で授業料据え置きを提案したが否決された。参院予算委員会では小林美恵子議員が、私学補助充実と第13条2項(b)(c)留保の撤回を求めた。この委員会では、小泉首相が憲法89条を持ち出して「私学への公費助成は憲法違反」と言い出した。自民党は「私学助成」を改憲の口実にしようという、なんともひどい。私立大学が、憲法に基づいて公的役割もっていることはすでに認められたものであり、こじつけは許されないものだ。

■ 憲法と“学費ゼロ”を正面に政策転換を――日本共産党は提案します

○そもそも憲法は「ひとしく教育を受ける権利」を保障・・・これを実質的に保障する

 憲法26条は第1項で「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」としている。この権利は、国民がもつ基本的人権の1つ。なぜ憲法が教育の機会均等を重視しているかというと、教育とは、個人の人格の完成をめざすとともに、そもそも憲法がめざす平和的・民主的な社会を実現するうえで不可欠のものだから。すべての国民が差別されず教育を受けてこそ、一部の者の利益のために侵略戦争に突き進んだ誤りを繰り返さない国をつくれると。そしてこの26条の2項で、「義務教育を無償」としているが、高等教育でもそれにとどまらない積極的な措置をとるべきというのが考え方の基本だ。

 また、教育権とは、国民の学習権という側面ももつ。「1個の人間として、1市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利を有すること、特に、子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有する」(1976年学力テスト事件最高裁判決)。国際人権規約や国際社会も、この「個人の発達の権利」を重視する方向へ前進してきたのが20世紀の流れ。

○高学費問題の原因――世界に例のない「アメリカいいなり、大企業の利益優先」政治から

 ではなぜここまで、日本政府は世界の流れに背を向けるのか。そこには日本特有の異常な政治のゆがみがある。日本共産党の綱領は、〔2章〕で、日本の政治が、アメリカいいなり、大企業・財界の利益中心にゆがめられた結果、「国民の生活と権利にかかわる多くの分野で、ヨーロッパなどで常識となっているルールがいまだに確立していないことは、日本社会の重大な弱点となっている」と指摘している。その結果、「過労死」・長時間過密労働、「サービス残業」、女性差別や人権侵害という世界からみても異常な実態が起こっている。

 さらに、財政的に見ると、「日本政府は、大企業の利益優先の経済・財政政策を続けてきた。日本の財政支出の大きな部分が大型公共事業など大企業中心の支出と軍事費とに向けられ、社会保障への公的支出が発達した資本主義国のなかで最低水準にとどまるという『逆立ち』財政は、その典型的な現われである」(綱領)。つまり、大企業とアメリカ言いなりにゆがめられた財政のしわよせが、社会保障や教育予算の貧困にきている。

○大企業とアメリカのための財政――2つの「聖域」にメスを

 だから、ここを変える必要がある。党綱領4章の「経済の改革〕では、「ヨーロッパの主要資本主義国や国際条約などの到達点も踏まえつつ、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる」ことが必要で、「国の予算で、むだな大型公共事業をはじめ、大企業・大銀行本位の支出や軍事費を優先させている現状をあらため、国民のくらしと社会保障に重点をおいた財政・経済の運営をめざす。大企業・大資産家優遇の税制をあらため」る、としている。

 @税金の使い道の歴史的ムダ=公共事業費、大企業・大金持ち減税〔★資料〕…公共事業費は、1990年代に大膨張した。サミット参加の他7カ国合計よりも大きい金額を使って、「日本の破滅への道は公共事業で分厚く舗装されている」とアメリカの新聞が皮肉ったこともあるほどだ。ゼネコンといって、大きな建設会社の利益を保証するしくみ。同時に、「公共投資基本計画」といって、1980年代末からアメリカに対して「10年間で430兆円」「13年間で630兆円」など使う金額を約束した。総額が決まっているから、ムダのオンパレードになる。…さすがに批判が高まって、2003年頃からは公共事業費を削減したが、しかし「スーパー港湾」、「ハブ空港」、大型ダムなどを作り続けている。神戸空港は1兆円+関西国際空港1.2兆円+中部国際空港1兆円=合計3兆円…これだけあれば日本中の大学の授業料を無料にもできる。それだけの無駄づかいをやってきた。

 さらにいま、大問題になっているのが、税金の取り方。大企業・大金もち減税の実態だ〔★資料〕。大企業の法人税率はどんどん下げられ、43%あったものが、40%へ、さらに37.5→34.5→30%となった。1989年からの18年間でいうと、法人税減税の合計は188兆円にもなる。その結果、大企業の利益は2倍になっているのに、払う税金は半分でいいと。もう1つ、大金もち減税も大問題だ。株取り引きに対して、もうけの10%しか税金払わなくていいことになり、減税規模は年間1兆円。国立大学の1年間の予算くらいの減税だ。減税されているトップの名簿〔★資料〕。サラ金やパチンコ会社の社長などがズラリ。

A軍事費の無駄づかいにメスを

 まもなく、テロ特措法の期限切れで、インド洋に派遣されている海上自衛隊が帰ってくる。実は、自衛隊派遣費用は720億円。イラク派遣は930億円。合計すると1650億円もかかっている。07年の文教施設費は1046億円、育英事業費は1438億円だ。さらに、「対ソ連戦争」に備えると言って、ソ連が崩壊したあとにも「90式戦車」という戦車を330両も買って北海道に配備している、3000億円。イージス艦という最新式の戦艦は1隻1400億円、6隻めを買おうという。

 米軍「思いやり予算」は2370億円、米軍再編・強化に3兆円。…どんなに大きな無駄づかいをしているか。これらを削れば、「学費無料化」も夢じゃない。フランスやドイツは実際にやっていることだ。

 まとめとして、日本共産党は、@大目標として、憲法に保障された「教育の機会均等」と、国際条約の到達点「高等教育の漸進的無償化」をはっきりと認め、財政的には、税金の使い方ととり方をただして、欧米並みに教育予算を引き上げるべきと考える。GDP比でいま「0.5%」しかない高等教育予算を、仮に、先進諸国平均の「1%」に引き上げれば、いろんな展望が開けてくる。Aそこへ向けてのとりくみをただちに開始する。大学の予算削減をやめ、学費値上げストップ。教育研究条件整備。私立大の「経常費2分の1国庫補助」、私立大生への学費助成や減免制度。無利子奨学金と返還免除枠の拡大、「給費制」奨学金の導入。また、「大学構造改革」による大学への統制や競争もちこみをやめ、「大学の自治」を尊重し、大学評価は専門家を中心にすること。独立行政法人化の見直し、など、力を合わせてとりくんでいく。

■たたかいが政治を動かす――未来をひらく主体的な生き方を

 この前、新聞に、ポルトガルの首都で学生の大きなデモがあったと報道。横断幕に「授業料11万円、これ以上の学費値上げは耐えられない」「大学を売り渡すな」。ヨーロッパでも、学費値上げや大学「民営化」の動きあるが、学生や大学職員が声をあげ、がんばりで抑えている。

 日本でも、東京大学では「年収400万円以下世帯の学生は全額免除」という大きな成果をかちとった。文科省は、来年度予算要求で大学予算の増額を要求した。

 様変わりした国会、日本共産党をはじめ野党での学費問題のとりくみが新たな段階にすすむ可能性がある。しかし、黙っていては変わられない。来るべき総選挙でも「学費問題」を大きな争点に押し上げ、値下げを勝ち取ろう。私たちもこれまで以上にがんばる決意で、11/9には「学費シンポジウム」を開く。国会論戦の先頭に立ってきた石井郁子衆院議員・副委員長が来る。ぜひご参加を。

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